【専務のひとりごと vol.3 】レタスのキモチ

「美里グリーンベースは、最新鋭の植物工場です」

「環境制御システムを導入し、自動化しています」

「1日4万株生産可能な、日本最大級のレタス工場です」

お客さまを美里グリーンベースにてご案内する際、これらの「ハード面」だけではなく、「ソフト面」をより丁寧にご説明するように、私は気をつけています。

ここでの「ソフト面」とは、「私たち社員とレタスとの関係性」とも、言い換えることができますね。

初めて美里にご来訪になった方、特に農業現場を初めてご覧いただく方は、当施設の規模や自動化された機械=ハード面に圧倒される方も多くいらっしゃいます。

日本の誇る機械メーカー「ファナック」の、人間のような滑らかな苗の定植作業や、5.1haに広がるレタスの広大な空間は、確かに圧巻ではあります。

私は、しかしながら、この工場の「本質」は、それだけではないと考えています。

美里グリーンベースの本質。

それは「目に見えないもの」であり、お客さまのご視察の際には、本質をしっかり説明する必要があると考えます。

児童文学の名著、サン=テグジュペリ作「星の王子さま」において、王子さまが「大切なものは、目に見えないんだ」との名言がありますが、まさにこれですね。

代表の針生信夫が、美里グリーンベースにて社員を諭す言葉の一つに「レタスのキモチが分からないとダメだぞ!」というものがあります。

レタスのキモチ。

それは、レタスが心地よく成長できる空間を作っていくことが、私たちの役目であるということです。

「機械化」「効率化」という言葉では、決してカテゴライズできないものです。

例えば、こんなことがありました。

ある閉鎖型植物工場の役員の方が、美里グリーンベースを視察されたことがありました。

その工場では「効率化のため、4時間おきに電気をつけたり消したりしている」というお話をされました。

対応した針生と私は「それは間違っている」と即座にお話しさせていただきました。

レタスは人間の子供と同じで、「夜はしっかり寝ないと成長できない」のです。ついつい工場と捉えると見過ごしがちですが、「レタスは生物であり、生理機能は人間と同じ」なのです。

小さいうち(=苗段階)に栄養や水を与えすぎて甘やかすと、大人になったら上辺だけの根っこが弱いレタスに生育します。

早く成長させたいために肥料ばかりあげていると、レタスはメタボになってしまい、病気がちになったり、虫がつきやすくなったり、美味しくない「えぐみ」のあるレタスになります。

隣で成長するレタス(=ライバル)がいたら、それに負けないよう、大きく成長しようと、レタスは努力します。どこかの会社の新入社員のようです。

暑いと熱中症になります。日光が強いと熱射病になります。夜暑いと寝不足になります。本当に、人間と同じですね(笑)。

レタスのキモチ。

今、レタスがどのように感じていて、何を私たちにしてほしいと願っているのか。

美里グリーンベースでは、毎日戦いの日々です。昨今の温暖化による気候変動もありますが、状況が変わっていく中でレタスと向き合い、“彼ら”が良い成長を遂げていけるよう、私たちも変化対応して努力していく。

変化する中で、時に「自分自身が逆にレタスに育てられている」ような、そんな感覚になることもあります。

課題を乗り越える日々ですが、この“人”と“レタス”との切磋琢磨があってこそ、美里グリーンベースの「つみたてサラダ」は、なお一層磨かれて出荷されていると実感しています。

「切磋琢磨の結晶」が、消費者の皆さまの食卓で、笑顔の華を少しでも咲かせているならば、本当に心から嬉しいことです。 

レタスたちも褒められて、きっと嬉しいことでしょう。

私がレタスのキモチを代弁します(笑)

(専務取締役 伊藤啓一 2024年9月26日)

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