にじのきらめき」と高温時代の米づくり|宮城の米を研究・普及・PRから見てきた平さんに聞く

こんにちは、舞台ファームの西古です。

近年、夏の厳しい暑さが続き、米づくりを取り巻く環境も大きく変わっています。

2025年の日本の夏は、統計開始以降で最も高い平均気温となりました。米づくりの現場では、高温による品質低下などが課題となり、高温に強い品種への関心も高まっています。

農林水産省によると、令和7年産では、高温耐性品種の作付面積が約24万8,000ヘクタールとなり、主食用米の作付面積の約18%まで広がりました。農林水産省「令和7年地球温暖化影響調査レポート」

そんな中、舞台ファームが自社圃場でも栽培し、種籾の生産・販売に取り組んでいるのが「にじのきらめき」です。

今回は、宮城県職員として33年間、農業の試験研究や「みやぎ米」の普及・振興に携わり、現在は舞台ファームで種籾の生産・販売や栽培指導を担当している、アグリ再生事業部の平智文マネージャーにお話を聞きました!

平さんのプロフィール

アグリ再生事業部 平 智文さん

平さんの経歴

宮城県職員として33年間勤務。農業試験研究機関での試験研究や、県庁での「みやぎ米」の普及・振興などを担当した。農業改良普及センターでは、農業改良指導員として生産者への栽培指導にも携わった。

舞台ファーム入社後は、米の集出荷や「にじのきらめき」をはじめとする種籾の生産・販売、栽培講習会、技術マニュアルの作成などを担当している。


県職員時代は、どのような仕事をしていたのですか?

Q:平さんは宮城県職員として33年間勤務されていたそうですね。どのような仕事を担当していたのでしょうか?

平:
県庁では、「みやぎ米」の普及・振興に携わり、日本全国や海外で宮城県産米のPRなどを行っていました。

また、県職員として勤務した33年間のうち、およそ半分に当たる15年間は農業試験研究機関に所属し、麦や大豆の雑草防除をはじめとする試験研究を行っていました。

農業改良普及センターでは、生産者の皆さんに向けた栽培指導も担当しました。試験研究から普及、PRまで、さまざまな立場で宮城県の農業と米づくりに携わってきました。

Q:種籾や品種の普及には、どのように携わっていたのですか?

平:
宮城県の研究機関で開発された品種について、地域の気候や風土に合うか、生産者が栽培しやすいかなどを確認しながら、地域へ広げていく仕事に携わっていました。

新品種には優れた特長がありますが、試験結果だけで普及するわけではありません。実際に地域で栽培し、生産者の声を聞きながら、その土地に合った栽培方法をつくっていくことが大切です。


全国へ広がる品種には、どのような特徴がある?

Q:これまで多くの品種を見てきた中で、「にじのきらめき」のように全国へ広がる品種には、どのような共通点がありますか?

平:
日本で広く栽培されている代表的な品種といえば「コシヒカリ」です。現在も国内の水稲作付面積のおよそ3分の1を占める、大きなシェアを持つ品種です。

新しい品種が広がるためには、コシヒカリのような既存の主力品種に近い美味しさを持ちながら、既存品種にはない新しい特長を備えていることが重要だと思います。

「にじのきらめき」は、良食味に加えて、高温耐性、耐倒伏性、多収性といった特長を持っています。また、耐倒伏性が高いことから、乾田直播などの省力的な栽培体系とも相性がよいと考えています。

現在の生産者が抱える課題や、農業の大規模化・省力化という時代の流れに合った品種であることが、全国へ広がっている理由の一つではないでしょうか。


試験データだけでは分からないこともある

Q:試験データだけでなく、実際の圃場で品種を確認することも大切なのでしょうか?

平:
非常に大切です。

実際に栽培してみると、試験データだけでは分からない作業上の特徴や、栽培時の注意点が見えてきます。

例えば、「にじのきらめき」は、収穫期に穂のまま発芽しにくい「穂発芽性・難」という特性を持っています。穂発芽しにくいことは、収穫期の品質管理においてメリットになりますが、一方で育苗時には芽が出るまで時間がかかる傾向があります。

舞台ファームの圃場で栽培した際には、「ひとめぼれ」と比べて催芽に1日程度長く時間がかかりました。ただし、必要な催芽期間は種籾の状態や温度などの条件によって異なります。

このような情報は、実際に栽培し、生産者の声を集めることで初めて見えてきます。品種の特長を伝えるだけでなく、現場で分かった注意点も共有していくことが大切だと考えています。


平さんが見る「にじのきらめき」の魅力

Q:平さんは「にじのきらめき」のどのような点に注目していますか?

平:
高温耐性、耐倒伏性、多収性といった、これからの米づくりに求められる特長を持っている点です。

中でも注目しているのが、乾田直播への適性です。

乾田直播は、乾いた田んぼに種籾を直接播種する栽培方法です。育苗や田植えにかかる作業を省けるため、経営規模の拡大や人手不足への対応につながります。

「にじのきらめき」は稲の背丈が比較的低く、倒れにくいため、機械作業を中心とした大規模な米づくりにも取り入れやすい品種だと考えています。

栽培適地は、東北南部から北陸、関東以西の広い地域とされています。



どのような生産者に向いている?

Q:「にじのきらめき」は、どのような生産者におすすめしたい品種ですか?

平:
大きく三つあります。

一つ目は、高温による品質低下に困っている生産者です。

二つ目は、今後の規模拡大を考えている生産者です。乾田直播などによって作業の省力化を図りやすく、機械作業との相性もよい品種です。

三つ目は、単位面積当たりの収量を増やしたい生産者です。

高温への対応、省力化、収量の確保といった課題を持つ方には、選択肢の一つとして検討していただきたいと思います。


栽培する際に気をつけたいこと

Q:「にじのきらめき」を栽培する際のポイントを教えてください。

平:
まず、育苗時の催芽温度と期間に注意する必要があります。先ほどお話ししたとおり、芽が出るまでに時間がかかる傾向があるため、他の品種と同じ感覚で進めないことが大切です。

また、多収性を十分に引き出すためには、品種の特性に合った施肥管理が必要です。肥料は多めに必要となりますが、適切に管理することで収量の向上が期待できます。

舞台ファームの圃場では、10アール当たり10~12俵程度の収量となった事例もあります。ただし、これは舞台ファームにおける栽培事例であり、収量を保証するものではありません。実際の収量は、地域や気象、圃場条件、栽培管理によって異なります。

「高温に強い」「多収が期待できる」といっても、植えるだけで品種の特長を十分に引き出せるわけではありません。

地域に合った播種・田植えの時期、施肥、水管理、収穫時期などを考えながら栽培することが重要です。

「にじのきらめき」の栽培指導をする平さん

舞台ファームが種籾の生産に取り組む理由

Q:舞台ファームでは、なぜ「にじのきらめき」の種籾を生産・販売しているのでしょうか?

平:
高温による米の品質低下に困っている生産者が、全国に多くいるからです。

「にじのきらめき」の種籾を安定的に届けることで、気候の変化に対応しながら米づくりを続けていく生産者の力になりたいと考えています。

Q:種籾の生産では、どのようなことを大切にしていますか?

平:
種籾は、翌年の米づくりのスタートになるものです。そのため、栽培管理と品質管理の両方を大切にしています。

食用米として多収を目指す場合には十分な施肥が必要ですが、種籾の生産では過剰な施肥を避け、病害などのリスクを抑えながら健全に育てることを重視しています。栽培には、バイオスティミュラント資材の「Nキャッチ」も活用しています。

品質管理では、関係する種子条例などで定められた基準を踏まえ、それ以上の品質を目指した取り組みを行っています。

例えば、2.3ミリのグレーダーを使って充実した籾を選別し、さらに籾色彩選別機にかけることで、より品質の高い種籾を届けられるようにしています。

舞台ファームでは、種籾の生産から調製、出荷まで、関係するメンバーが連携して取り組んでいます。

また、私のこれまでの経験も生かしながら、社内外に向けた栽培講習会や技術マニュアルの作成も進めています。

種籾を届けて終わりではなく、実際の栽培で困ったことや、圃場で見えてきたことを生産者の皆さんと共有し、一緒に考えていきたいと思っています。


これから「にじのきらめき」を検討する方へ

Q:最後に、「にじのきらめき」の作付けを検討している生産者へ、メッセージをお願いします!

平:
米を取り巻く市場環境は大きく変化しており、今後の価格動向も簡単には見通せない状況です。

そのような中で安定した農業経営を続けるためには、一時的な米価だけでなく、安定した収量、品質、食味、作業性を総合的に考えることが大切です。

「にじのきらめき」は、安定多収と良食味を兼ね備え、機械作業にも取り入れやすい品種です。単位面積当たりの収量を安定させることは、米づくりの収益性を高めることにもつながります。

高温による品質低下や、規模拡大、省力化などに課題を感じている方には、ぜひ一度検討していただきたいと思います。

暑さや天候の変化に、どのように備えていくか。

その答えは、地域や圃場、経営によって異なります。「にじのきらめき」も、これからの米づくりを考えるための選択肢の一つです。

舞台ファームでは、令和9年作付用・令和8年産「にじのきらめき」種籾に関するご相談を受け付けています。

作付けを検討されている方や、品種について詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!

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