舞台ファームの歴史シリーズ④〜舞台ファームの創業〜 

株式会社舞台ファームの歴史を紐解くシリーズ。引き続き舞台ファームの創業社長である針生信夫氏の創業秘話をお伝えします。

第4回の本記事では、農家であった信夫氏がついに舞台ファームの創業までのストーリーとなります。大農家・針生家としてセブン-イレブンをはじめとする小売業界との直接取り引きを拡大してから、様々な難曲を乗り越えて法人化し、現在に至るまでの経緯を記します。

■セブン-イレブンベンダーとの取引開始

●セブン-イレブン ベンダーとのつながりを模索

信夫氏はついにセブン-イレブンの大手ベンダーに野菜を納入するチャンスを得ます。契約獲得するために信夫氏は取引先に関係者を紹介いただき、人間関係を作るなど非常に"ウエットな"営業を行ったそうです。

大手ベンダーとの商談の日には、レタスおよそ50kgを軽トラックに山積みしてブルーシートをかけて事務所に持ち込み、質の良い野菜であることを売り込みます。

商談には乗用車、スーツで訪れるのが一般的ですが、軽トラックに山盛りのレタスを積んで、ハチマキを巻いた大男が現れるのですから、掴みは抜群です。面白い若者が来た、と話を繋げていただいたようです。

実はハチマキ姿も、軽トラックも相手の懐に飛び込むために信夫氏が考えた営業戦略でした。針生信夫は農家であると同等かそれ以上に営業マンとしての才能に溢れていました。

今でこそ舞台ファームはセブン-イレブンのベンダーという立場ですが、当時はコンビニベンダーに野菜を卸す生産農家という立ち位置でした。

セブン-イレブンと関係会社の関係図
引用:週刊エコノミストOnlineより
●「絶対納品」の契約

セブン-イレブンのコンビニベンダーにレタスを直接納品する契約を取った信夫氏は、レタスシーズンの4ヶ月間、1日も休むことなく毎日納品し続けます。

大量のレタスを毎日納品するために多段階作付を取り入れて収量を増やし、それでもレタスの収量が足りない時は近くのレタス農家を集めて買い取りも行いました。天候不良などで近くの農家から集められない時には、日本全国のレタス産地まで車を走らせるなど、文字通り足を使って「絶対納品」を守り続けました。

中間の卸売業者を介さない取引構造はコンビニベンダーにとってもメリットが大きく、信夫氏にとっても大きなビジネスとなりました。

通年納品の打診、「安定供給」という神話

東北地方のレタスの収穫期間はおおよそ5月から8月の4ヶ月間です。当初、セブン-イレブンのベンダーにはその4ヶ月間の納品契約でしたが、やがて通年での納品依頼を受けるこになります。レタスシーズン以外の時期に納品することは難易度が高く、当然コストも掛かるのですが、その分成功した時の利益も大きくなります。信夫氏は通年出荷を行う覚悟を決めて、オフシーズンには施設栽培を行ったり、原料の買取のため全国を行脚したりと試行錯誤の日々が続くのです。

今も続く「安定供給」への挑戦

2020年、舞台ファームは国内最大級のレタス植物工場「美里グリーンベース」を竣工しました。露地栽培では難しい「安定供給」・「高品質」・「低価格」の3方良しを実現する植物工場は、レタス農家としての知見と最新鋭のテクノロジーで設計されています。

『美里グリーンベース』について

「美里グリーンベース」は育苗から栽培まで全自動で管理され、成長に欠かせない光源には天然光とLEDを併用するなど様々な新技術を導入し、一年中安定した生産・供給を可能にしている。

法人化、舞台ファーム創業へ

●2003年7月11日「舞台ファーム」創業

創業前のには個人農家として既に1億円以上の売上規模になっていました。それまで信夫氏が自身で申告業務などを行っていましたが、知り合いの社労士から「法人化する方が税制優遇など恩恵を受けられる」とアドバイスを受け法人化します。ちなみに届け出日が7月11日(セブン-イレブン)にあたったのは全くの偶然だったとのこと。翌年の2004年には株式会社に商号を変更し『株式会社舞台ファーム』として走り出します。

●針生家の屋号"舞台"を社名に

舞台ファームの社名は、仙台市若林区にある針生家の屋号が"舞台"だったことが由来です。経営理念にもある「既存の枠組みに囚われない新しい農業プラットフォーム(=舞台)の上で次世代の食料供給システムを構築」というビジョンを掲げて、農業会社として生産・販売を行っています。

針生家の屋号が舞台となった歴史的背景

針生家には毎年11月23日に行われる新嘗祭(にいなめさい)を祝う神楽(=舞台)が奉納されていた。新嘗祭とは、その年の収穫に感謝して新穀を神様にお供えし、来年の豊穣を願う行事。

舞台ファームの創業ストーリー 了

インタビューに答える針生信夫社長

※本記事は現存している資料を元に作成しておりますので当時の状況とは異なる可能性もございます。

▷出典/引用

・週刊エコノミストOnline 進化続ける「コンビニ食」 高齢者と女性が需要創出=吉岡秀子
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20181211/se1/00m/020/065000c

・ジャパンナレッジ 「新嘗祭」
https://japanknowledge.com/introduction/keyword.html?i=2265


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